九州に温泉地は数あれど、これほど独特の雰囲気をもった温泉集落の景観が楽しめる町は珍しいでしょう。山道を抜けて杖立川の渓谷が見えると、川を挟んだ町のあちらこちらからのぼり立つ湯けむり。美しい川のせせらぎが旅情をかきたてます。はるか昔から泉質の良さが評判となり「湯治の街」として愛され、昭和のはじめには「九州の奥座敷」として歓楽街としてのにぎわいを見せました。平成に入るとその華やかな盛り上がりは衰退していきますが、いまもその名残をあちこちで感じることができます。そしていま、さまざまな歴史を受け継ぎながらも由緒正しい温泉街として静かに息づいています。